蒼空へのシュート ~先生への想い~
『試合どうだった?』
「勝ったよ」
『よかったぁ。東高は強敵っていってたもんね。すごいよ』
「余裕の勝ちだね。なーんて、俺達練習してるもんな。あれで負けちゃ、なんのためにやってるんだか。もうすぐインターハイだしな…」
峻太の目は目標にむかってまっすぐに向かっている。
そうだよね…あんなに頑張ってるんだもんね。
『でも峻太達、強くなったよね』
「一番強くなってるのは精神面な気がする。宮ゴリのおかげだよな」
『…先生の…おかげ』
先生の話題はだめだよ。頭の中には大好きな先生のことでいっぱいになってしまう。
思わず峻太の背中に頭をコツンとつけてしまった。
「うんっ、どうした?」
『な、なんでもない。精神面も鍛えているってこと?』
必死になって会話をしようとする私。
「おぉ、バスケの技術は練習すりゃあがるけど、結局気持ちなんだよな」
そう言いながら峻太は笑った。
「蒼衣ってさ、宮ゴリの話になるとすごくうれしそうだよな。俺も宮ゴリファンの一人だけどよ。ファンというよりリスペクトしている人かなぁ」
『うん。私も先生のこと大好き』
うわぁっ、言っちゃった。誰にも言ったことのない本当の気持ち。
鋭い指摘にドキドキする私の気持ちが、峻太をつかむ指先から伝わってしまうんじゃない
かとさらに焦ってしまう。
『ねー、峻太は休みがなくても平気?毎日毎日、朝から夕方もバスケでしょ』
話題を変えようと何気なく聞いた一言だった。