蒼空へのシュート  ~先生への想い~

「海斗、何にそんなに驚いてるの。知らなかった?大学生で、やさしいし、かっこいいし。あんた達とは違って稲葉さんは大人の男だからね。それに、いいなぁ、車が乗れる人とのデート。いろんな所行けるし、いろいろ出来るし、ふっふっ…蒼衣のH」


『唯、やめてよ』


「俺、寄るとこあるから、じゃあな」


峻太は私達の会話を聞いていなかったかのように言った。


「あっ、俺も…待てよ峻太」


どんどん歩いていく峻太達の後ろ姿を見ているうちに胸が苦しくなった。


この苦しさはなんだろう。


自分に嘘をついている後ろめたさ?


好きな人とはずっと一緒にいたい。会えないのは辛い。そんなことを言った自分は…


ううん。だって本当だもん。


好きな人の顔を見ていたい。声を聞いていたい。


それは、誰の顔?


誰の声が聞きたい?


誰に会いたい?



私の心の中には…

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