蒼空へのシュート ~先生への想い~
「…蒼ちゃん、…蒼ちゃん」
びっくりして運転席の仁さんを見つめる。
『ごめんなさい。ぼんやりしてた…』
私が答えてと同時に仁さんの腕が私の肩を包み込んだ。
「やっぱり俺って小せぇやつだわ。蒼ちゃんに好きな奴がいてもいいっていったのに、不安で、心配で…こんなに近くにいるのに遠くに行っちゃうみたいで…俺、情けねぇ…先生じゃなきゃだめ?蒼ちゃんの大切な人は俺じゃないのか…って…ごめん」
同じ思い。
私が先生を思う気持ちと同じ思いだ。
この人はこんなにも私のことを思ってくれている。
『…好き。仁さんが好きだよ…』
この暖かさに包まれよう。
他の思いがこぼれださないように、この気持ちを自分に確かめるように仁さんの背中にま
わした腕にギュッと力を込めた。