惚れたアイツにヤケドする?!
意地VS痛み
「やっぱりダメッ。」
えっ?と目を開けるとヒロは強引に起き上がった。
「俺、好きでもない女にキスされるのは遠慮するから。」
・・・・・。
「へぇ〜?
女からキスされるのが嫌と?
男の自分から女を襲いたいんだぁ〜。
オオカミくんだねぇ〜。」
ニヤニヤ笑うあたしをヒロはしらんぷりする。
「なんでそう解釈するのかなぁ?
まぁいいや、行こう。」
グッとあたしの腕を引っ張る。
うん…。
ヒロの言いたいこと分かってるよ。
あたしのこと好きじゃないんでしょ?
好きじゃないあたしとはキスをしたくないんでしょ?
分かっているぶん、自分の気持ちを隠したくなる。
ヒロの手がつかむあたしの腕。
あたしの腕をつかむヒロの手。
今、あたしとヒロが居る状況。
すべてが偽りなんだ。
もし、付き合っている“設定”じゃなかったら
あたしとヒロはこんなにも一緒に入られなかった。
今しているあたしの恋は偽りで結ばれている恋。
だから、もうちょっとだけ
このままでいたい…。