惚れたアイツにヤケドする?!
そんなに驚く事か?
「っで、なんか用?
帰っていい?」
男子はムスッとした顔で言う。
「待て。
俺、斎藤のダチなんだけど。」
あたしは眉をひそめた。
「斎藤って誰?」
「お前が付き合ってた奴。」
うーん…。
付き合ってた奴って言われてもなぁ…
たくさん居るもんなぁ〜。
しかも、いちいち付き合ってた奴の名前なんか覚えてない。
(顔もうつろうつろで…。)
「お前が昨日、フッた奴だよ。」
「あっ!あのキモイの!」
あの泣き虫のダサ男の顔がパッと浮かぶ。
確か、あいつ、斎藤って言ってたような…。
「お前、最低だな。」
目の前の男子は吐き捨てるように言う。
「何がぁ?」
「今まで付き合ってた男子の名前くらい覚えてろよ。」
「だって興味ないんだもん。」
あたしはカールしたエクステを指で巻く。
「ダメだこりゃ。」
男子は呆れたような苦笑いをしてため息をつく。
「斎藤、本気でお前のこと好きだったんだぞ。」
「べつに終わったこと話されても意味ないしー。」
「お前、本気で人を好きになったことないだろ?」