最後の恋
オヤジと俺はボタンの

掛け違いをしていた。

「本当に家内を愛していた。

けど母親が居なかったら

可哀想と思った母親が

誠一郎の母親と再婚を

進めたんだ。

最初は断ったよ。けど

卓郎の世話を出来ない

自分の代わりに誠一郎の

母親に託したんだ。」

「オヤジ・・。」

「俺は約束したんだ。

この会社は何があっても

卓郎に跡を継がせて欲しい。

それ以外は何も望まない。

それが最後の言葉だった。

だから何があっても

卓郎しか跡を継がせたく

なかったんだ。

誠一郎には悪いから

どうしたもんだと悩んで

いたら「なると」の令嬢との

縁談が持ち上がったんだ。

誠一郎には「なると」の

会社に入って2人で

ライバルになって競い

争って欲しいと願った。

それが会社じゃなく

1人の女性になっているとは

思いも寄らなかった。」
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