milk-ミルク-
俺は颯人とずっと一緒にいるような気がするのに、


実は颯人の一部しか知らない。

それも、たった一部。



少しシリアスな顔と、くしゃっとした笑顔と、

……………


だけだな。




全くって言っていいほど、俺は颯人を知らない。





そんなことをジメジメ考えていると、颯人は言った。

「渉、速く着替えてよー。
もう行っちゃうよ?」




アンダーシャツの首元をパタパタしながら「あっちー」と呟いた。



「待てっ!!」


少し焦りながら練習着にぱぱっと着替えて、適当に道具を持ってグランドへと向かった。
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