milk-ミルク-




ピンクの傘は地面に跳ねて落ち、



「……どうしたの?」





と、優しい声が響いた。


「………あの、」


ダメだ。




声が詰まる。



「渉真?風邪引くよ?」





「だから…………」



自分自身で、息をのむ音が聞こえる。



「渉真、あたし用事があって……」


解ってる、


だから、





だから俺は


「だから……、だから来た」
< 213 / 387 >

この作品をシェア

pagetop