milk-ミルク-
無我夢中、水たまりを飛び越えて
図書館へ向かい、角を曲がって
雨なんかもう今更気にしない。
「……………あ」
図書館裏、ピンクの傘と黒い傘。
日和と、噂のヤロー。
「……渉」
颯人は笑った。
さっきまでの冷たい声と全く違う。
「……………」
耳を澄まして、2人の会話を聞く。
「…………だ…ら」
ダメだ聞こえねえ!!
だらって何だよだら!!
「渉、ダメ、聞こえない」
颯人にも聞こえない。