milk-ミルク-
ついつい教室から出て、廊下の窓から外を見る。
灰色にグラデーションされた空を見つめる。
視界に入るのは、隣にある図書館。
体育館。
そして、『立ち入り禁止』の文字。
ゆっくり視線を変えて、『立ち入り禁止』へ。
その文字は、確かに図書館裏にあった。
「なんだ…、あれ」
隣りにいる颯人には、聞こえていなかった。
「渉?」
『図書館裏が埋まる』
そう言った担任の声を、改めて実感した。