milk-ミルク-
――――――
「磯比奈っている?」
俺は6組の入口前に立っていた。
「磯比奈?…ああ、ちょっと待ってて」
そう言って俺に手のひらを見せるのは、
颯人よりかは小さいが俺よりはデカい、男子生徒。
「…磯比奈〜、ちょっと、呼んでるって」
男子生徒は教室内に手を振って、磯比奈らしき人を捕まえた。
「はいは〜い…って、渉真くんじゃん。ハヤは?」
シャーペンを片手に、クルクルと回しながら来たのは磯比奈本人。
「颯人はいない…、つーか磯比奈、颯人の様子、変なんだけど…、なんかあった?」
訊いちゃいけないこと、俺は知ってる。