NAO



 ベッドで眠る父さんの横で、昔の事を思い出していた。


 古賀さんは“まだ仕事があるから”と言って戻って行った。


 たぶん…後で来ると思う。


 だって古賀さんは、父さんの事が好きなはず。


 そう思うようになったのは去年の夏頃ー…。


 今までに、今日みたいな事は何度もあった。


 そのたびにこの病院でお世話になっている。


 去年の夏頃も今日みたいに倒れて、ちょくちょく古賀さんが見に来ていた。


 父さんと話す時の古賀さんの顔は…恋する乙女の顔。


 いつもと違う古賀さんの顔を見て、あたしは確信した。


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