NAO



 聞いて良いものか、分からないあたしは言葉を濁した。



 「あっそうだった!愛ちゃん、お父さんが目を覚ましたわよ。」



 古賀さんは思い出したように話した。


 それはもう嬉しそうにー…。


 古賀さんの言葉で一瞬、忘れていた父さんを思い出した。


 気づいた時には、廊下を走っていたー…。


 あたしが去った後ーー。



 「直樹君、愛ちゃんと何かあったの?」


 「え…どうしてですか?」


 「愛ちゃん…すごく怒っていたみたいだから…」



 そう言って、話す古賀さんの顔は寂しそう。


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