NAO
†告白
屋上から出たあたしは、父親の病室に戻ろうとした。
廊下の端で、ヒソヒソと話す声が聞こえる。
気にする事じゃないと思って通り過ぎようと思った。
「ねぇねぇ、309号室の男の子…」
「あぁ、相田 直樹君でしょ。あの子がどうかしたの?」
“直樹”と聞いただけで、あたしの体は止まった。
あたしは、相手に見えないように壁に隠れた。
端で話す人達は、あたしに気づいていない。
「あの子…重い病気なんでしょ?」