NAO



 屋上で泣くあたしの後ろの扉が“ギィィ”と音をたてて開いた。


 その瞬間…あたしはフワッと腕に包まれた。



 「え…だ…」


 「愛…何で…泣いてんだよ。」



 後ろで話す声…ナオの声だー…。



 「ナ…オ…」


 「愛…何があったんだ?」



 心配するナオの声だ。


 どうして…あたしを抱きしめるの?


 あたしの事…遊びでしょ?


 沢山言いたいのに…言葉より先に涙が出る。


 この腕を振りほどいて逃げたい。


 逃げたいのに…振りはらう事が出来ない。


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