NAO
あたしはそれを見逃さなかった。
「何で…知って…」
「さっき…廊下でおばちゃん達が話していたのを聞いて…」
そう言うとナオは“チッ”と小さく言った。
あたしはナオの方を向いた。
「ねぇ…本当の事…教えて?」
ナオの顔を見れば苦しそうな顔。こんな顔は初めて見た。
「俺は…ナデシコの事…好きじゃないし。」
そう話すナオはあたしを見ないー…。
「ナオ…好きじゃないなら、あたしの顔を見て答えて。」
あたしはジッとナオの顔を見ていた。