NAO



 「そうなのか?てっきり穴があるのかと思った。」



 ニカッと笑うナオにあたしは“ほらっ”と言って耳を見せた。



 「見えねぇからここに来て。」



 そう言って、ナオはベッドに座るように言った。


 あたしは、ナオに言われたようにベッドに座ったー…。



 「これで見える。」



 そう言ってナオはあたしを抱きしめた。ギュッと抱きしめられた腕ー…。



 「ナオ…」


 「少しだけ…少しだけこのままで…」



 あたしは小さく頷いた。抱きしめられた腕をギュッと掴んでーー。


 抱きしめ合う2人の後ろでー…。


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