NAO
†距離
寒くなって来たこの季節ーー。
あたしはいつものように病室に向かっていた。
手には花束を抱えてー…。
309号室の前にあたしは着いた。
いつものように扉を開くとそこには…。
「ナオ?」
いつも愛くるしい顔で笑うナオがいないー…。
あたしが来る時間はいつもいるのに…今はいない。
落としそうになる花束をなんとか持ち直した。
「愛ちゃん。」
そう言って来るのは、ナオの隣のベッドのおじさん。
「おじさん…ナオは?」
あたしの中で小さな胸騒ぎが起きている。