NAO



 それは、おばさんに会ったのはこれが初めてだから。


 毎日のように面会に来ているあたしは、いつかおばさんに会うんじゃないかと思った。


 だけど、何故か今まで会わなかった。


 時間帯や、病室にいる時間が短かったかもしれない。


 それでも“彼女です”って言っても良いのかもしれない。


 だけど…あたしにはそんな勇気なんてない。


 まだナオに…何も出来ていないからー…。


 何も答えずに下に俯くあたしにおばさんは…。



 「もしかして…直樹の彼女さん?」



 おばさんの言葉に顔を上げた。


 顔を上げたあたしにおばさんは納得した。


< 212 / 367 >

この作品をシェア

pagetop