NAO



 「そう…あなたが直樹の彼女なのね。」



 寂しげな表情でおばさんは話す。



 「もしかして…愛ちゃん?」



 あたしの名前を聞くおばさんに驚いた。



 「どうして…あたしの名前を?」


 「それは…看護婦さんに聞いたの。」


 「そう…ですか…」



 ずっとしゃがんだままのあたし達。正直、足が痺れ始めてきた。


 そんなあたしの気持ちが、分かったのだろうかおばさんは…。



 「ねぇ愛ちゃん。少しお話しない?」



 そう言ってくるおばさんに“はい”と言ってしまった。


 本当は早くナオに会いたいけど…断る事が出来なかった。


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