NAO



 それからあたし達は屋上に向かった。


 ベンチに座る2人ーー。


 重い沈黙だけが過ぎる。それに耐えられないあたしは…。



 「あの…お話って?」



 おばさんに聞いてしまった。



 「実は直樹の事なんだけど…」



 ナオの事でドキッとした。徐々に不安も募る中、話すおばさん。



 「あの子…何も話してくれないの。彼女がいるって事も…屋上での事も…」


 「何も…話さない?」



 そう答えるあたしに、おばさんは“えぇ”と言って話し出した。



 「以前…あの子学校の屋上で倒れたの。」


 「え?」


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