NAO



 「もう、ここに来ないで。直樹の前に現れないで!」



 あたしの襟を掴んだまま、おばさん恨むような目を向ける。



 その瞳にはあたしへの…強い怒りが感じられる。



 「おばさん…」


 「あなたに、おばさんなんて呼ばれたくないわ!直樹を見捨てたあなたに…もう、私達の前に現れないで!」



 そう言うと、おばさんはあたしを押した。


 フラつく体はベンチから落ちた。


 おばさんは、あたしの横に置いていた花束を取るとーー。


< 217 / 367 >

この作品をシェア

pagetop