NAO



 「直樹は…昔から心臓が弱いの。完全に治るには…心臓移植しかないの。」


 「心臓…移植?」


 「そう…良くテレビとか町中で、黄色いカードを見た事ない?」


 「ある…」


 「それに登録している人で…亡くなった人から臓器を提供して頂くんだ。だけど…」


 「だけど?」


 「世界中には…臓器を提供してほしい人は沢山いる。直樹君だけ、特別は無理なんだ。」



 先生はギュッと拳を握りしめて話した。



 「でも…すぐに見つかるよね?」


 「すぐになんて見つからない。」


 「じゃ…ナオは…どうなるの?」


 「最悪の場合…」



 先生は最後まで言わず、ギュッと唇を噛み締めた。


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