NAO
†ピアス
あたしはずっと泣いた。
「もう大丈夫?」
「うん…」
「よし、じゃ…出かけよう!」
そう言って古賀さんはあたしの手を引いた。
「古賀さん、あたしそんな気分じゃ…」
「良いから。行くわよ!」
無理やりあたしは、街に連れ出された。
「古賀さん…あたし…街で遊ぶ気分じゃないよ。」
「良いじゃない。それに…」
「それに?」
「そんな沈んだ顔で直樹君と会った時、心配されるよ。」
「そうだけど…」
「直樹君…ちゃんと治療を頑張ってるの。退院して、愛ちゃんに会って一緒に街を見たりしたいんだって。」
優しい笑みで話す古賀さん。