NAO
あたしはソファーから立ち上がって、冷蔵庫に飛んだ水しぶきを拭いた。
「急にって…前から思っていた事だし。それに、ナオだって知ってるよ。」
「なっ直樹君が…何を?」
引きつった顔で聞く古賀さんにあたしは。
「古賀さんが父さんの事が好きだって事。」
そう言うと“ガクッ”と膝が曲がりそうになる古賀さん。
「それで父さんの事は好きなの?」
「それは…」
モゴモゴとしてハッキリしない。
「あたしとしては知っている人が、父さんと再婚して欲しいんだけどなぁ…」
そう言ってチラッと古賀さんを見た。顔を真っ赤にしてオロオロしている。