NAO



 「前のあたしだったらたぶん…こんな話はしなかったよ。」


 「じゃ…どうして?」


 「前に…ナオに言われたから…」


 「直樹君に?」


 「ぅん…あたしがお嫁に行った時、父さんは1人。ずっと1人より、誰かが側にいた方が父さんは幸せなんじゃないかって言われたの。」


 「直樹君が…そんな事を…でも、何で私なの?」



 「ナオに言われてから考えたの。その時…古賀さんの顔が浮かんだんだ。」



 あたしは笑って話した。



 「愛ちゃん…本当に良いの?」


 「良いに決まってんじゃん。」



 笑って答えるあたしに涙を流す古賀さん。何度も“ありがとう”と呟きながらー…。


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