NAO



 「だけどね…その考えは甘かったわ。奥さんが亡くなって、園田さんは病院に来なくなったし。会う事もなくなったわ。」



 手に持っていたペットボトルをギュッと握りーー。



 「それから、本気で諦めようと思って…何人もの男性と付き合ったわ。流されるように体を重ねて…」



 話をする古賀さんの横顔をあたしはジッと見ていた。


 何も…言えなかったー…。



 「体を重ねるたびに…これが園田さんだったら…と何度も思っていた。それでも…忘れようとした。忘れようとしたのに…現れるんだもん。」


 「それって…父さん…が?」


< 245 / 367 >

この作品をシェア

pagetop