NAO



 そうだよね。父さんに、電話なんてかけないからー…。


 もしかして…初めて父さんにかけたかも。


 あたしは受話器を耳にあてて。



 「父さん…今日…一緒に…食事がしたい」



 途切れ途切れの言葉。たった一言。


 だけど、あたしには精一杯だった。あたしの言葉に父さんは…。



 『分かった。どこで食事をする?』


 「食事は古賀さんの家。」


 『古賀…さん?』


 「看護士の古賀さんだよ。」


 『あの古賀さんなのか…今、古賀さんの家なのか?』



 そう言うあたしは“うん”と答えた。


 その瞬間“ダメだ!”と強い口調で拒む父さん。


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