NAO
†十年後



 高校へと続く桜並木道ーー。


 桜がないこの寒い季節に…1人の男性が立っていた。



 「懐かしいなぁ…」



 葉も枯れた木を見て呟く男性。


 黒く短い髪に眼鏡をかけ、見た目に合わないピアスーー。


 右耳に緑と赤のピアス。


 コートのポケットに手を入れて、肩を震わせながらゆっくり歩くー…。


 キミが…俺の前から…いなくなって…十年ー…。


 キミは今…何をしていますか?


 俺を置いて…地上から遠く離れた…空の上で…。


 キミの事は全て聞きました。


 十年前のクリスマスの日。


 街が喜びに浸っているあの日の事をーー。


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