NAO
先に進むにつれて手が震える。
「…んだょ…何だよこれ…」
手紙を持つ手に力が入る。
そんな時ーー。
「ただいま。あら、直樹帰っていたの?」
呑気な声で、俺に話しかけてくるお袋。
その声に体の奥から、怒りが込み上げて来る。
お袋は買い物袋をテーブルに置くと、それを冷蔵庫に直し始めた。
「そんな所に立ってないで、明日の準備でもしなさい。」
呑気な口調で言ってくるお袋に
「お袋…この手紙…なんだよ…」
震える声で話す俺…。どう言えば良いのか分からない。