NAO
「直樹…今から6年前の事を…話すぞ。」
“うん”と頷いて…ゴクッとツバを飲んだーー。
「6年前のクリスマス…愛ちゃんは…交通事故に遭って…亡くなったんだ。」
震える声で話す親父。俺はその言葉を疑ったーー。
愛が…亡くなった?ウソだろ?何で…親父まで…手紙と同じ事を言うんだ…デタラメだろ?
そう思う俺の横で親父は話を続ける。
「愛ちゃんは…女の子を助けるために…飛び出したんだ。病院に運ばれた時は…脳死状態…」
ギュッと唇を噛み締めて話す親父。
「…だろ…冗談だろ?そんな…デタラメな話…俺は信じねぇぞ!」
「本当なんだ!それに…おまえの…その心臓は…愛ちゃんのなんだぞ…」
眉間にシワを寄せて、涙をこらえる親父。