NAO



 お袋は声をあげて泣いている。



 「俺の…心臓…愛の?」



 俺は胸に手を当てた…。


 愛の…心臓…じゃ…俺のドナーは…愛なのか?


 今までの話が信じられないーー。


 ソファーから立ち上がり



 「ウソだー!!」



 おもいっきり叫んで、自分の部屋に向かったーー。


 うそだ…ウソだ…嘘だ!


 愛が…愛が死んだとか…愛が…俺のドナーだったとか…。


 そんなの…ウソだ!


 “ガシャン”“バサッ”と音を立てて俺は部屋を荒らす。



 「うわ~!!」



 気の狂ったように叫んだー…。


 その下で、両親達は泣いている。


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