NAO



 そう言いたいけど…そんな気力もない俺は…何も言わなかったー…。



 「出て来ないなら…そのまま話を聞いて。」


 「話…くれ…やめてくれ…」



 かすれた声で言っても古賀さんには届かず…話を始めたー…。



 「あの日…愛ちゃんが運ばれた時…」



 ゆっくり話す古賀さんの言葉が耳に入る。


 聞きたくないのに…勝手に入ってくるーー。



 「病院に来た時はもう…脳死状態だったの。体は傷だらけで…」



 震える声で話す古賀さん。


 古賀さん…やめてくれよ…もう…聞きたくない…。


 古賀さんは、俺の気持ちをムシして話を続ける。


< 302 / 367 >

この作品をシェア

pagetop