NAO
「ママ!」
奥から小さな男の子が玄関に来た。
「拓海、どうしたの?」
目をこすりながら“怖い夢を見た”と言って足にしがみついた。
古賀さんは男の子の頭を撫でながら“大丈夫よ”と言っている。
そんな光景をジッと見ていた俺。
玄関でずっと立つ俺が気になったのだろう…男の子はーー。
「このひと…だぁれ?」
俺の顔を見ながら答えた。
「あっ直樹君、ごめんね。」
「いぇ…それよりその子…」
「あっこの子は、私の子供で拓海(タクミ)って言うのよ。」
フフッと笑って小さな男の子を紹介してくれた。