NAO



 「その子…愛の親父さんとの…」


 「えぇ、そうよ。」



 嬉しそうに答える古賀さんの声と重なるくらいに、後ろから“ママ!”と叫ぶ声が聞こえた。


 俺は声のする方に振り向いた。


 そこには…黄色いバックを肩から下げて、幼稚園の制服を着た女の子が立っている。


 ジッと女の子を見つめていると…。



 「愛ちゃん、待ってよ!」



 女の子の後ろで1人の女性が叫んでいる。


 ーーあい…ちゃん?この子…愛って言うのか?


 目の前の女の子は…。



 「唯ちゃんが遅いんだよ!」



 そう言ってアハハッと笑っている。俺は、古賀さんを見た。


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