NAO



 だけど、最初から分かっていたように“良いわよ”と渡してくれたーー。


 俺の掌に赤いピアスが乗せられた。


 ギュッと握りしめて“ありがとう”と答えた。


 ジッと2人の光景を見ていた唯が口を開いた。



 「おばさん…あの事…この人に話しても良い?」



 古賀さんは“唯ちゃん…”と呟いた。



 「あの事って?」



 そう聞けば下に俯く2人。



 「なぁ…あの事って?」



 もう一度聞くと…唯が顔を上げた。



 「おばさん…やっぱり話すよ。あたし…ずっと気になっていたから。」


 「唯ちゃん…分かったわ。直樹君に話してあげて。」



 古賀さんの言葉に頷く唯。


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