NAO



 ーーガシッ!



 「アンタ、何やってんのよ!」



 そう言って俺の腕を掴んでいる…。


 ーーこの言葉…愛?


 俺は愛だと思って振り向いた。


 そこにはーー。


 涙をいっぱい流してギュッと俺の腕を掴む唯だった。



 「ゆ…い?」



 小さく呟くと…。


 “何やってんのよ!”ともう一度言われた。


 俺は顔を逸らして



 「何って…見て分かるだろ…」


 「アンタ…まさか…」


 「そうだよ…そのまさかだよ!ここで死のうとしていた…」



 ーーバシンッ!


 周りに響く音ーー。


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