NAO



 台所を見れば、座り込む父親がいた。



 「…父さん…」



 あたしが呟いた言葉に父親は、顔を上げたーー。


 目は虚ろで、酒を飲んでいるのだと分かるーー。


 父さんはあたしを見ると、ズルズルと近寄って来た。


 あたしの頭は“逃げなきゃ”と警報がなっているーー…。


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