悪魔で天使王子
ドレスよし、
メイクよし、
全部大丈夫だ。
劇は順調に進んでいって
いよいよクライマックスのシーン。
最後はやっぱりキスシーンだろ、
っということでキスシーンしちゃいます。
まぁほんとにキスするわけじゃないのでご安心を。
顔を近づけるだけ。
ついにそのシーーン
わたしが観客のほうに背中向けて
徹平が顔を近づけてくる。
「ほんとにキスしていい?」
「何言ってんの?
言い分けないでしょ。」
思いっきり強く足を踏んでやった。
「いってー。
ちぇ。」
そしたらいきなり抱き締められた。
きゃーーーーー
歓声が上がった。
「こんなの台本になかったんですけど。」
「これぐらい大目に見てよ。」
「今日だけ許してあげる。」
どうせ今嫌がっても
劇がめちゃくちゃになるだけだし。
そして垂れ幕が下がった。