【盲目の天使】番外編
実を言うと、俺は今とても悩んでいた。
ルシルは、母と違い、ノルバスでは捕虜扱いのため、俺は面会を許可されなかったのだ。
面会できないことは、辛かったが、俺はあまりルシルに関わるのはまずいのかもしれない、と思い始めてもいた。
なぜって、今、カルレイン様は非常に危うい立場にいるからだ。
今度の事件は、どう考えてもカルレイン様を陥れるための罠としか思えない。
事実、カルレイン様に疑いの目を向けるものは、一人や二人ではなかった。
もし、俺が下手にルシルに会って、彼女らと共謀したなんて話に持っていかれたら、
それこそカルレイン様の身を危険に落とすことになる。
そうなれば、当然、ルシルだって罪に問わるわけで・・。
・・・・ルシル。
カナン国出身の彼女が、どんな酷い扱われ方をしているかと思うと、俺は心配で胸が張り裂けそうだった。
あの時俺が、侍女になるように頼んだりしなければ、こんなことに巻き込まれずにすんだのに。
ふと空を見上げると、美しい月がこちらを見ている。
俺はその月に、必ず真犯人を見つけて、ルシルを助け出すんだと誓った。