【盲目の天使】番外編
明かりの灯された部屋は、まるで葬式のようで、俺は背筋が凍る思いだった。
「リリティス様!!」
毒を飲んだリリティス様のそばで、ルシルは何度も名前を呼んだけど、もちろん反応はない。
幽霊のような顔をしたカルレイン様を見るのも辛かったけど、
リリティス様の寝台にすがりつくようにして涙をこぼしているルシルを見るのが、俺には耐えられなかった。
母も、呆然とした様子で立ち尽くしている。
と、突然俺のほうへ寄ってきたルシルは、俺の胸をボカボカと殴り始めた。
「どうして!どうしてよ~。マーズレンの馬鹿ぁ!
なんで、リリティス様を守ってあげないの!
リリティス様は、目が見えないのに。ばか、ばか~!!」
ルシルの瞳からは、これでもかってほどに涙があふれていて。
そんな様子を見て、母も鼻をすすっている。
「ごめんよ、ルシル。
・・少し、あっちへ行こうか」
カルレイン様に軽く会釈をして、俺は部屋を後にした。