【盲目の天使】番外編
俺は、ルシルを自分の部屋まで連れてきた。
部屋に連れ込んだみたいでちょっと嫌だったけど、
ルシルの部屋は、証拠探しにひっくり返された後で、めちゃくちゃで。
とても寝られるような状態ではない。
「ルシル、これ飲んで」
俺は、ルシルに暖かいスープを差し出した。
それは、リリティス様のことにショックを受けただけでなく、多分、牢であまり食べていなかったせいだろう。
ルシルの体は、ドキッとするくらいに酷く冷えていて、唇も青ざめていた。
ルシルの体を毛布でくるむと、彼女はほんの少しためらってから、スープに口をつけた。
「おいしい・・」
「良かった。俺が作ったんだ」
「マーズレンが?」
「うん。実を言うとね、牢獄を破ってルシルたちを助け出して逃げる計画を立ててたんだ。
それで、牢から出た後に、ルシルたちのお腹に負担がないものを食べさせてあげよう、って考えて、
スープを作る練習をしてたのさ」
少しでもルシルの気がまぎれるように楽しい話題をしたかったけど、
俺は、やっぱり不器用で、口が滑って余計なことを言ってしまった。