【盲目の天使】番外編
「おかわりするかい?」
俺は、ルシルがきれいに飲んでくれたのが嬉しくて、もう一杯ついでやろうと立ち上がった。
すると突然、俺の背中に、ルシルが抱きついてきた。
「ルシル・・?」
俺は、振り返ろうと体をよじったが、ルシルは俺から身を隠すようにしていて、
こちらを向こうとしない。
「どうしたんだい?」
かなりの時間、ルシルは沈黙したままで、やっと発した声は、消え入りそうだった。
「ごめんなさい」
「どうして?」
「リリティス様のこと。マーズレンのせいにしたりして。
マーズレンは、ちゃんと考えてくれたのに・・・」
あいかわらず、ルシルは俺の背中に顔をうずめたまま、顔を見せてはくれなくて。
「ルシル。俺、君の顔を見て、言いたいことがあるんだけど」
俺は、もう一度ルシルに会えたら、必ず言おうと思っていたことがあった。
きちんと言わなかったこと、ものすごく後悔したから。