【盲目の天使】番外編
俺はルシルの手に自分の手を重ねて、俺の体から引っぺがした。
ルシルは抵抗せずに、そのまま俺の背中からゆっくり手を離したので、
俺はルシルのほうに向き直った。
彼女はうつむいたまま、俺の目を見ようとはしない。
よほど俺をなじったことが許せないみたいだけど、それが八つ当たりだってわかってて好きにさせたのは俺だ。
ルシルの視線に俺の視線を合わせたくて、俺は彼女の前に跪いた。
下から覗き込むと、茶色いかわいい瞳が潤んでいて、今にも一雨きそうだ。
「ルシル。俺は、ノルバス国の人間で、母もあんな感じだ。
あんまり器用じゃないから、君を傷つけることも多いと思う。
でも、俺、もうルシルのいない人生が考えられないんだ。
俺のそばで、一生俺を支えてくれないかい?」
俺は、一言一言、ゆっくりと言葉にした。
本当は、もっとかっこよい台詞を色々と考えていたんだけど、
ルシルを前にしたら、すべて真っ白になって、素直に思ったことを口にした。