【盲目の天使】番外編

俺は、きちんとご両親に挨拶に伺ったこと。

ルシルの同意も得て、結婚するつもりなことを言うと、母は、やっとのことで笑顔を見せた。


「さすがは私の自慢の息子だわね」


って。

さっきは、ぐずって言わなかったっけ?


と、


突然、母は、俺の服を上から下まで眺めると、これではね~、と一人でごにょごにょとつぶやき、

よし!となにやら気合を入れると、俺を引きずり始めた。


「マーズレン!もうすこしお前を磨いてやるから、部屋に案内しなさい」


「ちょっと待ってよ!俺はちゃんと正装をしてるんだ」


「いいえ、それではだめよ。私が色々見繕っているから、それに着替えなさい」


「何言ってるんだよ!式まで時間がないし、それに俺は、コウガイ将軍たちとも警備の話があるのに!」


カルレイン様が今日の即位式を迎える意義は大きい。

事実上、カナン国の国王であったベリウス王を完全に廃することになるからだ。

彼らは、王妃の出身国であるホウト国に亡命してはいるが、

いつカナン国を取り戻そうと、攻撃を仕掛けてくるか知れないのだ。

< 79 / 90 >

この作品をシェア

pagetop