【盲目の天使】番外編
すばらしく晴れ渡った空と、白い雲。
天までもが、お二人に祝福をおくっているように思える。
無事に戴冠式と結婚式を終えたお二人が、城のバルコニーに姿を見せると、
民衆からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。
それは、まるで、物語から抜け出たようなお似合いの二人で、
俺は、今までの苦労がしのばれて、思わず男泣きしそうになる。
それはもちろん、ルシルだって同じ気持ちで。
俺とは反対側にいるはずの彼女の目には、きっと涙が溜まっているはずだ。
が、
あれ?
おかしいな。いつもならリリティス様の近くにいるはずなのに。
姿を探したが、見えない。
すると突然、演説を終えたカルレイン様が、俺を振り返り、にやりと笑った。
・・何かやらかすつもりだな。
カルレイン様の、あのいたずらっ子のような笑い顔。
まったく俺の主は、いくつになっても、子供みたいなんだから。
何が起きるのか、まったく想像はつかないが、きっと俺が後始末をする羽目になるんだろう。
まぁ、それもいいか。
それが俺の役目なんだろうから。