【盲目の天使】番外編
まったく、ほんっとうに、カルレイン様はなんて意地が悪いんだ。
リリティス様は、よく結婚する気になったな。
ルシルが人前で口付けなんて、できるわけがないでしょうに!
俺は、主であることも忘れ、カルレイン様をきっと、にらみつけた。
まぁ、俺に睨まれたところで、痛くも痒くもないんだろうけど。
民衆からは、
口付けはどうした!早くしろよ!
なんて、野次がひっきりなしに飛んでくる。
冗談じゃない。
こんな大勢の前で、そんな恥ずかしいことができるか!
第一、見世物みたいで、ルシルだってかわいそう・・・・かわい・・そう。
え・・・?
俺は、自分の目をいっぱいに見開いた。
これって、本当に現実なんだろうか。
俺の両頬は、ルシルの掌にはさまれ、俺の唇は、唇には・・、
とても柔らかくて暖かいものが・・。
ル、ルシル?!!
ヒュウ~!!
やったな!!
女は度胸だ!
はっきりと耳に届く野次に、やはりこれは夢ではないのだと悟る。