言葉にできない
【親友】
今年も夏がやってきた。



今は昼の一番暑い時間。

蒸し暑い部屋の中で扇風機を「強」にして、なまぬるい風に髪をなびかせた。

今にも溶けてしまいそうなアイスキャンディの袋を開け、半分くらいを一気にかじる。

すると頭がアイスの冷たさでキンキンと痛んだ。



「いってぇ」



顔をしかめ、アイスの棒を口に加えたまま言葉を発した。



それが俺、野木結也(ノギユウヤ)。

高校の陸上部は休みだったため、家で一人の時間を楽しんでいた。

汗が滴るボサボサの髪の毛を、手で擦り、ソファに寝転がった。


ぐしゃ


仰向けになった瞬間、耳障りな音がした。

すぐさま体を起こして見ると、一枚のチラシが背中につぶされて、ぐしゃぐしゃになっていた。



”花火大会”



この前、学校帰りに配られたチラシだった。

今年はこの地区で花火をやるらしい。

そういえば俺は花火なんて何年も見ていなかった。



「今年行くかなぁ…」



扇風機のスイッチを切って、ソファから立ち上がると部屋のドア








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