癒やしの里
そしてそこからは風に乗って、祭りの囃子が聴こえてきます。
どうやら、秋祭りが行なわれてしるようです。
よし、行ってみよう。
俊次くんは丘を下って行きました。
やはりそこは村でした。
駅から真っ直ぐに続いているこの道は、ここでは村のメインストリートの役割を果たしていて、両側には「祭礼」と書かれた提灯を軒先に吊した商店が、僅かばかりですが並んでいます。
囃子の調べに誘なわれたかのように、道には地元の人たちの姿がチラホラ見えます。
祭りが行なわれている神社はすぐに見つかりました。
秋ですからさすがに浴衣姿の人はいませんでしたが、村人たちはみんな団扇を手に、露天をのぞいたりして祭りを楽しんでいるようです。
ここは東北地方のどのあたりの村なのか、地図を持たない俊次くんにはさっぱりわかりませんでしたが、しかしそのようなことは全く問題ではありませんでした。
旅人となって東京から遠く離れた土地をさすらうことで、失恋という傷を負った心を、少しでも癒やしたかったからです。 そしてこの傷心の旅人(トラベラー)は、ふらりと訪れたどこともわからないこの山あいの村で、思いがけず土地のお祭りに出逢ったのです。
どうやら、秋祭りが行なわれてしるようです。
よし、行ってみよう。
俊次くんは丘を下って行きました。
やはりそこは村でした。
駅から真っ直ぐに続いているこの道は、ここでは村のメインストリートの役割を果たしていて、両側には「祭礼」と書かれた提灯を軒先に吊した商店が、僅かばかりですが並んでいます。
囃子の調べに誘なわれたかのように、道には地元の人たちの姿がチラホラ見えます。
祭りが行なわれている神社はすぐに見つかりました。
秋ですからさすがに浴衣姿の人はいませんでしたが、村人たちはみんな団扇を手に、露天をのぞいたりして祭りを楽しんでいるようです。
ここは東北地方のどのあたりの村なのか、地図を持たない俊次くんにはさっぱりわかりませんでしたが、しかしそのようなことは全く問題ではありませんでした。
旅人となって東京から遠く離れた土地をさすらうことで、失恋という傷を負った心を、少しでも癒やしたかったからです。 そしてこの傷心の旅人(トラベラー)は、ふらりと訪れたどこともわからないこの山あいの村で、思いがけず土地のお祭りに出逢ったのです。