抜けないリング~先生の薬指~
一つだけ付け加えよう。
誰も本気ではない。
教員と生徒が恋仲になるだなんて、小説然り現実でもありふれた話。
しかしそれに伴う苦難、たとえば停学、退学は真っ平ごめん。大学にでもいけば望んでいた桃色の、いや、薔薇色の生活が待ち受けているはず。
つまりはは教員との恋愛なんて一時の気の迷いとしか言いようがない。
それか女子高という狭い世界の中での逃避。
時間の無駄だとは言わない。
体力の無駄だとは思うけど。
なんて、しばらく恋愛のれの字も経験していない私がえらそうに言える権利なんかないか。
少ななくとも何の胸の高鳴りもないまま、ただ高校生活を送っている私よりも、数倍、数十倍女の子らしい。